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生き物たちの情報戦略 (DOJIN選書: 11)

生き残りをかけた生命の工夫

生き物たちの情報戦略

生き物にとって情報とは何か。生き物たちの環世界を探りながら、行動と情報戦略の不思議に迫る。

著者 針山 孝彦
ジャンル 科学読み物
シリーズ DOJIN選書
出版年月日 2007/09/01
ISBN 9784759813111
判型・ページ数 B6 ・252ページ
定価 本体1,800円+税
在庫 在庫あり
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内容説明

カンブリア紀の爆発で出現した多種多様な生物.彼らはすばやく動く能力をそなえていた.それは外部環境を知る生物の情報処理器の変容ももたらした.
この「移動能力の向上―情報処理器の洗練」が,進化に深くかかわっていたのだとしたら…….
生物にとって情報のもつ意味とは.
生物を本当に理解するうえで,おのおののもつ情報世界=環世界を知る必要性とは.
南極,ケニア,フィンランド,イタリアなど,世界各地に赴き,生き物たちに接して著者はなにを考えたのか.
人間社会を含め,生物を真に理解する旅.

◆◇◆ 書評情報 ◆◇◆

『朝日新聞』11月25日,評者:渡辺政隆氏

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目次

第1章 多様な生き物たち
一 南極の虫(スプリングテールを求めて/極寒の地でも凍らない/スプリングテールも昆虫)
二 多様な生物とその整理法(生物の分類/形変われば種も変わる?)
三 なぜ生物は多様なのか(生命の誕生/大量の酸素/原核生物から真核生物へ)
四 生物多様化の促進――多細胞生物の出現(細胞の塊/移動する能力)
五 スコット・ハット(サバイバル・トレーニング/南極の研究室)
第2章 生き物はいかに多様化したのか
一 南極の海(生命溢れる海/黄色い服を着たままバーに入るな!)
二 カンブリア紀の大爆発――多様な生物のほんとうの意味での出現(にぎやかな時代へ/体に硬いものがあるという特典/移動する方法/筋肉の存在)
三 生物の多様化の発見(生物の類縁関係/ダーウィンの洞察/遺伝の法則――メンデルの工夫/生き物の形づくり/形はいかに変化するか)
四 なにをもって昆虫とするか――スプリングテールを見ながら考えた(体節で考える/翅と卵で考える)
第3章 生物がもつ時計――多様な生物の共通性
一 体内時計(別のトビムシ/白夜はツラい/二四時間一周期――概日リズム/シアノバクテリアのもつ時計)
二 氷の上で……(トビムシ捕獲作戦/ジョークとレジ袋)
三 体内時計の調べ方(光りを受けとる細胞/トビムシの餌/一二時間周期/南極のタコ料理)
第4章 多細胞生物の設計原理
一 息が苦しい(ケニヤ山の石っころ/オーストリアン・ハット/肺の役割/ヒトの呼吸調整能力)
二 生命を維持する工夫(細胞の役割分担/ホメオスタシス/生体エネルギーの通貨/太陽のめぐみ/ミトコンドリアの仕事/バクテリアの生き残り戦略?)
三 進化スピードの上昇――移動性がもたらしたもの(神経系の誕生/神経系の集中/標高五〇〇〇メートルを飛ぶハチ)
第5章 生き物たちの存在様式
一 栄養をいかに取り入れるか(家畜化されたヒト――ナイロビナショナルパークにて/エネルギー(栄養)という視点から見た生物)
二 太陽の恩恵(食物連鎖/エネルギー(栄養)の流れ/もとをたどれば太陽エネルギー/万物流転)
三 集団――群れることの効用(マガディ湖でみつけた温泉/テラピアの味/生態学とはなにか/還元論的生命観/個体の集団/個体群の広がり)
四 分布――他者との距離(個体の分布/個体数を変動させる外的要因/バッタの大発生――密度効果が集団におよぼす影響/マサイマラナショナルパーク)
第6章 生き物たちにとっての情報処理
一 食う食われる(フィンランドの湖畔にて/被食者と捕食者の関係/行動がもたらしたもの)
二 外部環境を知る能力(生き物たちのセンサー/運動性能を向上させた感覚器/複雑な眼の誕生/よく似た基本設計)
三 生物の情報戦略――行動と情報処理(動物の行動とは/行動の五つの単位/あらためて動物の行動とは)
四 進化の原動力(タコとヒトの高度な行動/大進化へ――安定した情報処理機構/真っ赤なお鼻のトナカイさん)
第7章 驚異のナビゲーション能力
一 またまた別のトビムシ研究(フィレンツェ大学――ルネッサンスの息吹を感じて/トビムシのナビゲーション/ 体内時計と太陽の位置)
二 いかに巣に帰るか――ベニツチカメムシの戦略(子育てをするベニツチカメムシ/帰巣戦略/「科学の巨人」/帰り道の方向と距離/複眼の役割/道草を食えるベニツチカメムシ
三 複雑化した行動と情報処理(個体群の維持/「食う食われる」だけではない関係/大きな脳、小さな脳)
第8章 生物がつくりあげる情報世界――環世界
一 バッファローは馬鹿者なのか(ケニア山に別れを告げて/ライオンよりもバッファローが怖い/頭がよいとはどういうことか/予測どおりの行動、予測外の行動/行動だけで判断しない)
二 環世界の導入(情報世界の考え方/環境と環世界(環境世界))
三 種によって違う感覚の受容範囲(見えるものだけが見える/色を見分ける/聞こえるものだけが聞こえる/情報の抽出/意識にのぼらない世界)
第9章 環境への適応戦略
一 環世界をいかに理解するか(雄と雌の環世界――マガディ湖の温泉 続編/アオハダトンボのディスプレイ/環境を記憶する――ハエの情報処理システム/ふたたび環世界について
二 環境の変化に上手に適応したフナムシ(視覚世界の調べ方/昼と夜で変わる世界/脚で水を吸う?/集団の中での個性の違い)
三 環世界の理解はなにをもたらすか(「適応的」「合目的的」ではない生物の行動/殺虫剤を使わない殺虫方法――環世界の応用/異文化の挨拶)
第10章 環世界と文化的行動
一 挨拶行動が意味すること(マーライオンの町/無用の闘争を避ける挨拶/挨拶行動は習得的か生得的か/ヒトにとっての挨拶)
二 経験によって変化する自分(変化し続ける情報処理システム/馬鹿にならないために――文化を学び、自分を変える/朝に道を知れば夕べに死すとも可なり)
三 生物の誕生、情報世界、そして環世界と文化世界

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