その昔のロタール・マイヤーが「原子容」曲線(当然ながら半径の三乗に比例します)を描いて、メンデレエフと独立に周期律を導き出したのと同じような着想で比較をされたのだろうと存じます。ですが百数十年の昔と違って、現代では原子の存在状態次第で、その半径にはかなり大きな違いが現れることがわかっています。ですからお問い合わせのような現象が生じるのは、根本的には「希ガス元素」の半径としてファンデルワールス半径を使い、ほかのところでは別の半径をお使いになっていることが原因なのです。
出所が違う数値を並べて、全体としての大小の傾向を論じるというのは、山本 弘氏の主催される「と学会」のサカナにされそうな連中がよくおやりになることなのですが、まさか質問された方はそんなおつもりではないだろうと存じます。たまたまお手元にあったデータということなのでしょう。でも、このような手法はキケンですから、おやりにならないように。
このような「原子半径」の意味のある比較のためには、共有結合半径のみ、あるいはファンデルワールス半径のみというように、同じ分類のものだけで比較しないと、意味のある結論は得られません。共有結合半径は当然ながらキセノンやラドン以外の希ガスについてのデータはありませんから、お求めのような比較をするためには、ファンデルワールス半径のデータをそろえて比較しなくては無意味です。
ご質問のような比較に便利なように、ネオンからアルゴンまでのところのそれぞれの原子についてのファンデルワールス半径の値を、J.
Emsley の“The Elements”(第三版)(1998)から引用してみましょう。原子番号の増加順に並べると、次のようになっています(単位はピコメートルです。この本にはマグネシウムのところだけデータが欠けています)。原子の半径が最大となるのはやはりアルカリ金属元素であることがおわかりいただけるでしょうか。
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Ne
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Na
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Mg
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Al
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Si
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P
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S
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Cl
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Ar
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160
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231
|
・・・
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205
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200
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190
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185
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181
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191
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原子やイオンのサイズ(もっともこれは電子雲の広がりなので、文字通り「雲をつかむ」ようなものですが)を左右しているのは、「有効核荷電」と最外殻電子の数なのです。このあたりをたくみに概括してあるのは、いささか古くはなりましたが、アリゾナ州立大学のR.J.Sanderson教授(新しい電気陰性度の概念を提唱するなど、きわめてユニークな見地から元素全般を概観した本を多数刊行されています)の執筆された“Inorganic
Chemistry”(広川書店から「サンダーソン無機化学(上・下)」として訳本がもう30年ほど前に刊行されましたが、現在では絶版になっています。でも大学なら図書館にあるでしょう)に、同じ条件での比較が周期表のワクの中に図示されていて、詳しい考察も載せられていますので、これをご参照になるのが一番わかりやすいだろうと思います。
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