第161回
山崎 昶先生が答える化学質問箱
回答者プロフィール
やまさき・あきら
1937年生まれ.東京大学理学部化学科卒業.
元日本赤十字看護大学教授.
おもな著書に「化学の常識なるほどゼミナール」「落語横丁の化学そぞろ歩き」「機密保持と化学」「ミステリーの毒を科学する」,訳書に「化学するアタマ」「先生を困らせた324の質問」「サイエンティスト ゲーム」「続 サイエンティストゲーム」など多数.
山崎 昶先生が答える化学質問箱
第161回 (2016/7/26更新)rss
Q.

中和滴定曲線において,pHジャンプが起こるのはなぜですか? また,pHジャンプ後のpH変化が緩やかになるのはなぜですか?

Q.

ネオジム磁石のリサイクル技術として,ネオジムやジスプロシウムを精製するという話を耳にしたのですが,磁石はそのように元素まで再精製しなければリサイクルできないのでしょうか?

Q.

硫化銀(I)の高温下における物理的・化学的性質についてご教示ください.

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Q.

中和滴定曲線において,pHジャンプが起こるのはなぜですか? また,pHジャンプ後のpH変化が緩やかになるのはなぜですか?

A.

 このご質問は高校生からのものなのですが,周辺の基礎となる事項をどのぐらい習われて居るのかが全く不明なので,おわかり頂けるように説明するのは至難のわざです.こういう時こそ恩師の出番の筈なんですが,何かお伺いできないような事情でもおありなのでしょうか?
 あなたさまがどの辺まで理解して下さっているのか一番的確なデータをお持ちなのは,やはり何と言っても恩師以外にはありえない筈なので,納得できるまでご教示ただけるのは他にはないと存じます.
 ただ,溶液内平衡や対数計算の知識が不十分な段階だとすると,これはネットで問い合わせるにはもっとも不適当な問いかけの典型のようにも思えます.
 折角ネットを利用させるなら,たとえば「OKWave」などを「滴定曲線」をキイとして検索して,その結果〔いろいろなグレードのお答え(大部分はかなり難しい語句を含む)がならんでいますが〕を御参考とされた上で,身近な恩師に相談されるのがよろしいのではないでしょうか?

Q.

 ネオジム磁石のリサイクル技術として,ネオジムやジスプロシウムを精製するという話を耳にしたのですが,磁石はそのように元素まで再精製しなければリサイクルできないのでしょうか?

A.

 お尋ねの「元素まで再精製しなければ」というのがいろいろな意味に解釈可能なのですが,強力な磁性体として有名なネオジム磁石でも,その成分元素の希土類や鉄やホウ素の化合物までが強い磁性を示すわけではありません.大体,化学的に分解可能だからリサイクルできるので,物理的に粉砕しても強磁性を帯びたままですから,場合によってはもっと不純物だらけになってしまうでしょう.

Q.

 硫化銀(I)の高温下における物理的・化学的性質についてご教示ください.化学事典やMSDSでは融点845℃となっていますが,国立医薬品食品衛生研究所が開示しているデータでは810℃で分解となっております. http://www.nihs.go.jp/hse/cicad/full/no44/full44.pdf
1000℃を越えるような高温下ではどのようになるのでしょうか.

A.

 これにはいろいろな理由が考えられますが,硫化銀には少なくとも三種類の異なった結晶系の固体(相)にすることと,夾雑物の混在のために融点が低下しやすいことの両方が影響していると考えられます.なお,海外の文献ですと,高温で安定なγ-Ag2Sの融点はほとんどが845℃となっているようです.
 輝銀鉱(α-Ag2S)は銀の硫化鉱物としてお馴染みのものですが,実はこれも不安定相のようです.ですから,もっと高温条件下では,圧力や雰囲気次第でまた別の相が生じて,別の融点が出現する可能性だってあります.