月刊「化学」2014年(69巻)2月号 【解説】新しい用途が広がる多孔性配位高分子 ●徐 強

月刊「化学」2014年(69巻)2月号 【解説】新しい用途が広がる多孔性配位高分子 ●徐 強 page 5/6

電子ブックを開く

このページは 月刊「化学」2014年(69巻)2月号 【解説】新しい用途が広がる多孔性配位高分子 ●徐 強 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
解 説30 化学 Vol.69 No.2( 2014)前駆体として用いた場合でも,得られる炭素材料の比表面積(BET 法)は3148 m2 g?1 に達した24).さらに,MOF のナノ粒子化によって,粒子間空隙がメソ孔またはマクロ孔に相当し....

解 説30 化学 Vol.69 No.2( 2014)前駆体として用いた場合でも,得られる炭素材料の比表面積(BET 法)は3148 m2 g?1 に達した24).さらに,MOF のナノ粒子化によって,粒子間空隙がメソ孔またはマクロ孔に相当し,MOF それ自身のマイクロ孔とともに,「多段階の階層型空間を構成する」というコンセプトのもとに,ZIF-8 のナノ粒子を利用して,マイクロ孔,メソ孔とマクロ孔を併せもつ階層型多孔質炭素材料を合成した.マイクロ孔はイオンの貯蔵に,メソ孔とマクロ孔はイオンの迅速な輸送に適するため,このように合成した炭素材料は炭素のキャパシタではこれまでの最高の性能を実現し,5 A g?1 という高い電流密度で2000 サイクルを測定した場合でも200 F g?1 を超える高い容量を安定に示した25).そのほか現在,多孔性MOF を鋳型または前駆体として利用した機能性材料合成が多数の研究グループによって行われ,多様な新用途が開発されている26).たとえばMOF を鋳型・前駆体に用いて合成した炭素材料は,白金フリー触媒として燃料電池カソードの酸素還元反応(ORR)に高活性を示すこと27)や,リチウム硫黄電池の電極材料として高い性能を示すこと28)が報告されている.また,MOF を前駆体に利用して,空気中で焼成することによって,リチウムイオン電池の電極材料として高い容量と優れた充放電サイクル特性をもつコバルト酸化物Co3O4 ナノ粒子集合体が開発されている29).MOF 鋳型法は,水素発生用光触媒Fe2O3 /TiO230)や,リチウム電池電極材料α-Fe2O331)などの合成にも用いられている.大きな分子の分離剤としてこれまでMOF では,おもにミクロ孔のものが数多く報告されてきたが,最近より大きな孔径(>2 nm)をもつメソ孔MOF も合成されている.マイクロ孔MOF によるガス分子の吸着,貯蔵と分離に対して,メソ孔MOF は大きな分子の貯蔵と分離に利用でき,また生体物質への応用にも大きな可能性をもつため注目されている.最近,反応条件の精密制御により,可逆的相互変換が可能な無孔,マイクロ孔およびメソ孔Cd-MOF 異性体を合成した(図9) 32).直径2 nm の一次元チャンネルをもつメソ孔Cd-MOF 異性体を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の固定相に利用して,サイズの大きな染料分子(2 nm 前後)を分離できることをはじめて示した.図10 に示すように,染料分子Brilliant Blue R-250 はメソ孔MOF のチャンネル(2 nm)よりも大きいため,MOF の細孔内に侵入せず,すばやくカラムを通過するのに対し,サイズの小さい染料分子Rhodamine 6G( R6G)はMOF の細孔内に侵入するため,長図8 MOF を鋳型・前駆体に利用して合成した多孔性炭素材料の電気二重層キャパシタ電極材料としての電気化学特性   a) サイクリックボルタンメトリー(CV),b) 定電流充放電特性(1.0 M のH2SO4 電解液中).-0.44002000200400-0.2 0.0 0.2電 位/V0.4比容量/F g-11mV s-1 2mV s-15mV s-1 10mV s-120mV s-1 50mV s-10 1000 2000 3000時 間/ 秒電 位/V4000 5000 6000-0.5-0.4-0.3-0.2-0.10.00.10.20.30.40.550 mA g-1100 mA g-1250 mA g-1500 mA g-1a) b)同じ量のC(d NO3)2とリガンド160℃ 5mL DMFマイクロ孔無孔メソ孔5mLDMF18mLDMF105℃160℃空気中105℃R-250R6G相互貫入制御図9 無孔,マイクロ孔およびメソ孔Cd-MOF 異性体の合成